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研究紹介

腫瘍間質ゲノム解析に基づいた胃癌浸潤を制御する新規分子機構の解明(石本)

  • 2018.05.24 |

Diffuse-type胃癌は間質との相互作用が強く、腹膜播種やがん性リンパ管症などの切除不能な転移を引き起こしやすい。腫瘍間質に存在する細胞の中でCancer Associated Fibroblasts (CAFs)は、サイトカインや成長因子などの液性因子を分泌し、腫瘍進展・転移に関わる事が報告されている。今回私たちは、diffuse-type胃癌CAFsの遺伝子異常や癌細胞との相互作用に関する重要な分子を網羅的ゲノム解析に基づき明らかにする事を目的とした研究をおこなった。まずDiffuse-type胃癌由来のNormal Fibroblasts(NFs)/CAFs 11ペアを用いてExome、RNAシーケンシングを行なった。ExomeシーケンシングはCAFsに特異的な遺伝子変異を認めなかったがRNA シーケンシングデータに基づいた遺伝子発現比較解析(NFs/CAFs)をおこない、34個の遺伝子がCAFsで有意に高発現する事が分かった。更にパスウェイ解析により細胞運動に関わる遺伝子群がCAFsに高発現しており、上流の制御因子としてTGFβ1が関わることが明らかになった。この解析結果に基づいたCAFs特性を検証する為、細胞外マトリックス(ECM)存在下タイムラプスイメージングをおこなった。ECM存在下においてCAFsはNFsに比べて顕著に高い運動能を示し、CAFsと直接共培養したdiffuse-type胃癌細胞はECM内での浸潤能を獲得した。更にECM内でのCAFs運動能を制御する分子として、CAFsに高発現する遺伝子の中からRHBDF2を同定し、新しいTGFβ1シグナル調節機構を明らかにした。【結語】CAFsはRHBDF2によるTGFβ1シグナル調節を介した高い運動能を有しており、diffuse-type胃癌細胞は間質中のCAFs依存的な浸潤を示すことが明らかになった。

【図の説明】

図1:胃癌切除検体からのNFs/CAFs樹立とRNAシーケンシングデータ

図2: 腫瘍間質中CAFsに依存する新しい胃癌浸潤機構

©2018 kumamoto-gesurg