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低侵襲外科の現状

熊本大学消化器外科では、消化器疾患に対しより低侵襲(体を傷つけることが少ない)な治療に特化し、腹腔鏡手術や胸腔鏡手術を積極的に行っています。その中でも特に先進的な治療として、ロボット支援下手術、腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術を行っています。このような低侵襲手術は高度な技術が要求され、安全面を担保するために日本内視鏡技術認定医を中心に手術を施行しています。現在当科には7名の技術認定医が常在しており、常に技術の向上を目指してトレーニングを積んでいます。

ロボット支援下手術Robot-assisted surgery

平成31年4月より診療報酬改定により、手術支援ロボットを使用する12術式について新たに保険適用が決定しました。熊本大学病院では、胃・直腸の2領域から手術支援ロボット“da Vinci Si”を用いたロボット支援下手術を開始し、現在まで順調に症例を増やしてきています。従来の腹腔鏡手術と比較したロボット手術の利点として、3Dハイビジョンカメラによる視覚化の向上、多関節鉗子、モーションスケーリング及び手振れ防止機能により、腹腔内、骨盤内の狭い術野で正確な操作性が可能なことがあげられます。胃癌では胃全摘、噴門側胃切除、幽門側胃切除の3術式に対して保険収載され、重要な血管や膵臓周囲に存在するリンパ節郭消を高い精度で行うことが可能です。また、直腸癌では難易度の高い男性の肥満症例や、より複雑な直腸癌症例を含む多くの患者で有用性を発揮でき、外科的剥離断端の確保と肛門温存、神経温存に関して手術成績の向上が期待されます。現在50例以上のロボット支援下直腸手術を行っており、今後も安全面に注意しながら手術を行っていく予定です。

図1:ロボット支援下手術
図1:ロボット支援下手術

腹腔鏡・内視鏡合同手術LECS:Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery

LECSは、内視鏡医による内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)と、外科医による腹腔鏡下手術のハイブリッド手術として、内科と外科の協力のもとで行う手術のことです。LECSでは最小限の胃・腸管壁の切除で腫瘍切除が可能であり、術後に生じる消化管の変形が抑えられ、機能を温存できると考えられます。 腺腫、早期癌や粘膜下腫瘍(GIST)などリンパ節転移を伴わない疾患が適応となり、病変の局在や全身状態を考慮して適応を考慮します。胃の場合は胃粘膜腫瘍(GIST)に対して、LECSを行っています。以前では広範な胃切除が必要であった噴門、幽門近傍の病変に対しても安全に手術を行うことが可能となりました。大腸の場合は憩室などの存在により、ESD単独では穿孔のリスクの高い困難病変が適応となります(図2)。

十二指腸病変に対するLECS手術は特にD-LECSと呼ばれ、本年4月に保険収載されました。D-LECSはESDで腫瘍を切除した後、薄くなった十二指腸壁(潰瘍底)を腹腔鏡で縫合し補強します。これまで10例に行い、全例で腫瘍の完全切除が得られ術後合併症も認めず早期退院が可能となっています。症例によっては膵頭十二指腸切除術などの大きな手術を回避することが可能です。

図2:腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)
図2:腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)

腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術Laparoscopic Pancreaticoduodenectomy

2016年に良性から低悪性度腫瘍に対する腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術が保険収載され、2020年4月には膵癌や胆管癌にも保険適応が拡大されました。現時点の熊本県内では熊本大学病院のみが施設基準をクリアしており、本術式を積極的に行っています。大きな侵襲を伴う従来の開腹手術は術後のQOL低下やADL低下を招きやすく、術後の抗がん剤治療や再発時の治療が入りにくいケースもありました。腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術は開腹手術と比べて手術時間が長くなりますが、傷が小さく、気腹により腸管への負担も少ないため術後の食事摂取が良好で、体重減少も起こりにくい傾向にあります。これまで28例行い、術後在院日数も18日と良好な成績です。悪性疾患の場合に郭清されたリンパ節個数は平均40.5個と開腹手術と遜色ないリンパ節郭清が得られています。一方、手術適応は安全性と根治性を第一に、十分な検討を行いながら施行していきます。

図3:腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術
図3:腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術
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